寂しい微笑

2/3
前へ
/217ページ
次へ
 そう、じっと()を見て告げる。何とも唐突――と言うか、普通にわけの分からない発言だと自分でも思う。そして、そんな僕に対し―― 「………………」  ぎゅっと口を結び、じっと()を見つめる音咲くん。その表情(かお)には、怪訝も呆れの様子もない。どころか、その瞳には不安……いや、恐怖の色さえ揺れていて。その()に――確かに見覚えのあるその瞳に、僕は改めて確信に至る。そして―― 「……ねえ、音咲(おとさき)くん。君には、好きな子がいるんだよね? ――好きな、男の子が」
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加