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「…………なんで、お前が謝って……」
そう、茫然と呟く音咲くん。そんな彼を、じっと見つめたまま口を開いて――
「……成海くんは、ずっと僕を護ろうとしてくれてた。自分が一番辛かったはずなのに、それでも僕を一番に護ろうとしてくれてた。それも、君の大切な想いに応えられなかった僕を」
「……唯月」
「……なのに、僕は逃げた。僕は、弱くて臆病で……そんな自分が嫌で、君に顔を合わせられなくて、ずっと……昨日も、僕に会いに来てくれていたのに、ずっと逃げたままで……だから、ごめん。それから……少しびっくりしたけど、嬉しかった。だから……こんな僕を好きになってくれて本当にありがとう、成海くん」
「……っ!! ……いつ、き……っ」
そう、真摯な瞳で話す杉崎くん。その綺麗な瞳には、今にも零れ落ちそうな涙が湛えられていて。その後、少し間があって――
「……俺こそ、俺の方こそごめん……そして、俺の方こそ、本当にありがとう……唯月」
そう、絞るように告げる音咲くん。その綺麗な頬に伝うのは、一滴の雫。そして、それは瞬く間に数を増していって……うん、邪魔者はそろそろお暇しなきゃね。
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