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……だけど、何か……
「――最近、元気ないね恭ちゃん」
「……へっ? あ、いえそんなことは――」
「……まあでも、仕方ないよね。大切な教え子が、こういうことになってるわけだし」
「……ええ、まあ……」
その日の帰り道。
黄昏色に染まる空の下、隣を歩きながら心配そうに話す薺先輩。そんな彼女の言葉からも、例の件――蒔野さんの件について先輩も何か知っていることが分かる。尤も、それが一年二組の皆や僕が知ってる全てなのか、あるいは断片的な情報なのかまでは分からないけど……だけど、程度を確認することにきっと意味などないのだろう。
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