1巻 あらすじ

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「うわっ眩し!」 扉が開いた瞬間、お決まりの展開を、体験出来た事に嬉しさを感じる。期待して中に入ると、目の前に広がっていたのは、大きいショッピングモールにありそうなフードコーナーだった。椅子と机は大小異なり、お店は見覚えあるチェーン店が、6・7軒並んでいた。右端には、子供を遊ばせてそうな風船いっぱいの部屋があり、ピンク色のうさぎの着ぐるみを着た人がたっていた。 (え、何ここ。あれ、僕、間違えた?) 後ろを振り向いても、扉は無くなっていた。僕が混乱していると、うさぎの着ぐるみが走ってきた。 (怖っ!!) 恐怖で必死に逃げる。が、すぐに追いつかれ、摘まれてしまった。僕は宙に浮き、少しずつ回転される。 (誰か!助けて!!) 声が出せなくなっていた。そして、着ぐるみと目が合う。 (近っ!!怖っ!!) 僕は体をうねらせ、逃げようとするも無理だった。すると、 「こんにちは。新人さん。驚かせてごめんなさい。ここのコンセプトなんです」 可愛らしい声がした。 「安心してください。取って食べたりしませんから。椅子と机は大小あるでしょう?ここは皆さんが、休憩で食事をする所です」 着ぐるみは、僕をそっと手のひらに乗せる。 「申し遅れました。わたくしは案内人、白いうさぎと書いて、ハクトと申します。ピンク色をしたうさぎの着ぐるみですが、よろしくお願いします」 (ややこしい…) 「わかっていますよ。表情はわからなくても、今までたくさんの方から言われましたから。ややこしいと思いましたね?」 そう言いながら、顔を近ずけてきた。 (近いな!凄く圧を感じる!) 「それはそうと、その姿、詐欺に合われた方じゃないですか。お気の毒に。ですが、懸命にも訓練して生き延びようとしてる姿、素敵だと思います。こちらにいる限り、及ばずながら、サポートさせて頂きます」 「ありがとうございます。あれ、声が出た」 「ふっふっふっ、すごいでしょう?声を無くしたのは、わたくしの能力なんです。みーんな、逃げようとするので…いっそ、助かることが出来ない状況に、してしまおうかなって♡」 「言動が所々怖いって!だから、逃げたくなるんですよ!」 「うぅ、酷いです。次は、一生身動きが出来なくなるようにしますよ?」 「すみません。やめて下さい!」 「わかればよろしい。では本題に移りますね」 「その前に、助かることが出来ない状況って言っていましたが、僕の場合、動けましたよ?もし僕が、素早く動けたり、瞬間移動出来たとしたら?」 「その場合、身動き取れなくなっています。あくまで『助からない状況』なので、相手によって異なります」 「便利ですね」 「ありがとうございます。…褒めたって、ひいきは禁止行為なので行いませんからね!」 「仮に行ったとしたら?」 「天界裁判にかけられて、罰せられます」 「どのような?」 「罪によって異なりますが…最悪、地獄行きになったりでしょうか」 「あ、やっぱりそういうの、あるんですね!」 「嬉しそうな声で言わないでください。それと、せんさくは、あまりし過ぎない方がいいですよ?」 「すみません…」 「コホン、本題に入っていいですか?」 「お願いします」
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