1巻 あらすじ

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「ここは、第3訓練場。ミドリ様が担当の女神様です。この飲食スペースは、共有スペースですので、休憩以外にも、ご自由に使用できます。食事は全て係のものが作ります。代金は、訓練場でドロップしたアイテムを、換金してご利用ください。換金所はゲームコーナーにあります」 「タダでは食べられないんですね」 「それはそうですよ。ここは、訓練場ですから。タダで食べれると知れば、訓練しない方も出てきてしまいます」 「誰かのアイテムを、奪う方もいるのでは?」 「ご心配なく。その時点で天界裁判所へ連行されます」 「監視カメラでもあるんですか?」 「そこは、守秘義務なので答えられません。」 ハクトさんはそう言いながら、ズンっと顔を近づけた。 (怖いって…!) 「言っても分かりにくいでしょう。実際に見せますので、ついてきてください」 ハクトさんは僕を置いてスタスタと行ってしまう。一笑懸命動くも、前に進まない。 (なんて進みづらい体なんだ) 僕が進みにくそうにしていると、ハクトさんが戻ってきて、僕を持ち上げる。 「はぁ、仕方ないですね。今回は時間が押しているので、手伝ってあげます」 そう言って、僕を手にのせた。風船いっぱいの部屋の前まで歩いて行く。 「この先は、1人で行ってください。緊急時以外は、女神様もたち入れません。なお、外部からの通信は可能です。死んでもこちらに転送されるので、ご安心を。中に入ったら、わたくしの指示に従ってくださいね。」 僕は下ろされ、1歩進む。謎の光に包まれ見えた景色は、山の中だった。大きな木が沢山あり、根っこが所々むき出しになっている。 『あーあー、聞こえますかー。聞こえたらジャンプしてみてください』 僕は精一杯飛び跳ねた。 『大丈夫そうですね。では───ザー…ザザザザこれから…ザザザ』 ノイズ音が耳に響く。 (嫌な予感がする。これはもしや…) 大きな地響き。不穏な空気が漂う。 『グァァァァ!!』 「あー!やっぱりそう来たか!」 僕は後ろを振り向く前に、意識が無くなった。 ……… … …。 (あれ?) 目が覚めても、目の前は山の中のまま。違いがあるとすれば、地響きと鳴き声が聞こえいくらい…。 「ごきげんよう」 突然、後方から声をかけられた。後ろを振り向きたいが、動けない。 「その姿、哀れですわね。まぁ、面白いサンプルとして成長されているようで、今後が楽しみですわ」 振り向けた時には、もう誰もいなかった。再び地響きがなる。 『グァァァァ!!』 鳴き声が聞こえた時には、僕の視界は真っ暗になっていた。目覚めると、ハクトさんが覗き込んでいた。 「大丈夫ですか?」 「大丈ばないですよ!ノイズが聞こえて、ドラゴンらしき鳴き声がしたと思ったら、目の前真っ暗で!」 「ふふ。びっくりしたでしょう。ノイズの演出には凝っていましてね。ヒヤヒヤしたでしょう。ふっふっふっ」 「死んだら意味ないでしょう!アイテム取れて…」 コロコロと小さな石のようなものが、僕の傍に転がっていた。 「アイテムが、何ですか?」 (多分、にやにやしている。着ぐるみで分からないけど) 「僕、倒してないのに!?何故?!」 僕が驚いていると、ハクトさんは続けた。 「それが、ドロップアイテムです。ドラゴンは、サプラーイズ。勝手に死ぬ設定です」 「なぜ、わざわざここまで…」 「そ・れ・は・怖がる顔が、見たくて♡」 「色々怖いって!!」 「まぁ、とにかく。そのアイテムを、わたくしに渡すとします。そしたらーじゃじゃーん!500コインさしあげます!」 「あ、ありがとう、ございます」 「喜んでください。つまらないです」 「すみません」 (なぜ謝っているんだ?) と疑問に思いながら、内心とても嬉しかった。久々の人間らしい食事が出来るのだ。喜ばずにいられない。 「お店、沢山あるので迷いますよね。貴方のような小さい方用の場所は換金所の近くにあります。時間が押しているので、後程見て下さい。そろそろ他の方々が訓練から戻ってくる時間です。今いる仲間を紹介します」 そう言うと、風船のある部屋から次々と多彩な方々が出てきた。6番目に出てきたセミの姿をした方が、ハクトさんに話しかけた。 「はぁ、疲れたー。ハクさんよっす!」 「こんちは」 「こちら、新入りさん?」 「そそ。仲良くね」 「へいへい」 「この方、年長の林さん。」 「林だ。前世は人間。今はセミ。よろしく」 「その隣は、橋波さん」 「今は、ショウリョウバッタ。よろしく。」 「あちらの帽子の姿になっているのは、山中さん」 「初めまして。よろしくお願いします」 「その隣のネックレスの方は森下さん」 「よろしく」 「1番最初に出てきた信号機の方がジョニーさん」 「ヨロシク」 「2番目に出てきたウーパールーパーの方は影月さん」 「………」 「すみません。少しシャイな方で。皆さん、この方は新入りの…すみません。まだ名前を…」 「僕はミミズです。よろしくお願いします」
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