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「ここはねー、天界の廊下みたいなところかな。左に行くと、君が今まで行っていた白い部屋がたーくさんあって、右は君がこれから行く所」
「これから行く所?」
「行ってからのお楽しみさ!」
内緒にされてしまった。僕はもう1つ気になった事を聞くことにした。
「もう1つ、いいですか?」
「いいよー、なーんでも言って!僕、優しいから何でも答えるよ!」
(さっき、内緒にしたじゃないか)
と思いつつ
「ミミズって、普通の人は転生しないんですか?」
「しないよ」
真顔で答えた。
(じゃあ僕、なんでなったんだろう?)
「だって、分解者になるのは、『前世が殺人・放火をした罪人』だから」
(僕、人間でいる間に何をしたんだ!?)
「そんな事より、さっきの質問は?」
(そんな事って…)
「まぁ、良いよ。そろそろ時間も無くなってきたし、本題に入ろうか」
(時間なくしたの、リンさんですよね?)
「君、記憶ありの転生はあと1回ね」
笑顔で伝えられた言葉は衝撃的だった。
(??今何と?)
「きょとんとされても、困るよ。ごめんね。ルールなんだ」
「ぇぇぇぇぇぇ!!」
(まだ、何もしてないのに!!生き延びようと、草に転生して、すぐ死んで、詐欺にあって燃やされて死んだだけだよ!)
「うんうん。わかるよ。言いたいことは。だからね、救済措置があるんだ」
「何ですか!それは!」
「修行させるのさ」
(ドヤ顔で言われても…)
「実際には、させるじゃなくて、してもらうが正しいかな?天界からは、1ヶ月間だけ転生最後の為の、特別修行空間を与える。スキルが獲得しやすい空間ではあるけど、生かすも殺すも、本人次第」
「もし、活かせなかったら?」
「まぁ、すぐ死ぬだけだね」
「そんなあっさり」
「仕方ないよ。僕たちはあくまでサポートが仕事で、助けている訳じゃない。それに、その人ばかり構っていられないよ。死者は今もいて、僕たちの仕事の予定はいっぱいなんだ」
「じひは無いんですか?」
「じひ?あるよ。あんまりおすすめしないけど」
「と、言うと?」
「1ヶ月ずつ、延長出来る。ただし、1ヶ月につき寿命1年、半年だと寿命6年払う計算かな?」
「等価交換ってやつですね」
「そうそう!さすが今の子!わかってるぅ」
「ウインクしながら褒められても、嬉しくありません!」
「まぁ、施設の維持費ってとこかな?1人にスペース貸すだけで結構、天界のエネルギー使うから」
「支払う方、いるんですか?」
「いるよ。結構多いと思う。みんな、意外と野望持ってるから。それに、なんだかんだで、自分が死ぬのが怖いし」
(野望はともかくとして、死ぬのは怖い。僕も迷うな)
「でも、延長は1人1年まで。7ヶ月後からは2年寿命を貰うから、最大で17年寿命貰うことになるかな」
(あんまり実感無いけど、17年は長いな)
「今考えたってしょうがないよ!最後のチャンス、活かしてね!応援してるから!」
リンさんはそう言って、大きく手を振ってくれた。
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