1巻 あらすじ

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「ここはねー、天界の廊下みたいなところかな。左に行くと、君が今まで行っていた白い部屋がたーくさんあって、右は君がこれから行く所」 「これから行く所?」 「行ってからのお楽しみさ!」 内緒にされてしまった。僕はもう1つ気になった事を聞くことにした。 「もう1つ、いいですか?」 「いいよー、なーんでも言って!僕、優しいから何でも答えるよ!」 (さっき、内緒にしたじゃないか) と思いつつ 「ミミズって、普通の人は転生しないんですか?」 「しないよ」 真顔で答えた。 (じゃあ僕、なんでなったんだろう?) 「だって、分解者になるのは、『前世が殺人・放火をした罪人』だから」 (僕、人間でいる間に何をしたんだ!?) 「そんな事より、さっきの質問は?」 (そんな事って…) 「まぁ、良いよ。そろそろ時間も無くなってきたし、本題に入ろうか」 (時間なくしたの、リンさんですよね?) 「君、記憶ありの転生はあと1回ね」 笑顔で伝えられた言葉は衝撃的だった。 (??今何と?) 「きょとんとされても、困るよ。ごめんね。ルールなんだ」 「ぇぇぇぇぇぇ!!」 (まだ、何もしてないのに!!生き延びようと、草に転生して、すぐ死んで、詐欺にあって燃やされて死んだだけだよ!) 「うんうん。わかるよ。言いたいことは。だからね、救済措置があるんだ」 「何ですか!それは!」 「修行させるのさ」 (ドヤ顔で言われても…) 「実際には、させるじゃなくて、してもらうが正しいかな?天界からは、1ヶ月間だけ転生最後の為の、特別修行空間を与える。スキルが獲得しやすい空間ではあるけど、生かすも殺すも、本人次第」 「もし、活かせなかったら?」 「まぁ、すぐ死ぬだけだね」 「そんなあっさり」 「仕方ないよ。僕たちはあくまでサポートが仕事で、助けている訳じゃない。それに、その人ばかり構っていられないよ。死者は今もいて、僕たちの仕事の予定はいっぱいなんだ」 「じひは無いんですか?」 「じひ?あるよ。あんまりおすすめしないけど」 「と、言うと?」 「1ヶ月ずつ、延長出来る。ただし、1ヶ月につき寿命1年、半年だと寿命6年払う計算かな?」 「等価交換ってやつですね」 「そうそう!さすが今の子!わかってるぅ」 「ウインクしながら褒められても、嬉しくありません!」 「まぁ、施設の維持費ってとこかな?1人にスペース貸すだけで結構、天界のエネルギー使うから」 「支払う方、いるんですか?」 「いるよ。結構多いと思う。みんな、意外と野望持ってるから。それに、なんだかんだで、自分が死ぬのが怖いし」 (野望はともかくとして、死ぬのは怖い。僕も迷うな) 「でも、延長は1人1年まで。7ヶ月後からは2年寿命を貰うから、最大で17年寿命貰うことになるかな」 (あんまり実感無いけど、17年は長いな) 「今考えたってしょうがないよ!最後のチャンス、活かしてね!応援してるから!」 リンさんはそう言って、大きく手を振ってくれた。
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