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廊下は広く長いけど、不思議なくらい誰もいない。
左右を見渡すと、綺麗に手入れされた庭園がある。
僕はふと、あることに気がつく。
(今話せるし、動けるけど、よくよく考えたら植物なんだよな。名前忘れたけど。普通に考えたら異常だよな。むしろ誰にも会わない方がいい気がする…)
そんな事を考えながら、歩いているとオレンジ色の鳥のような花と白い花畑が目に入った。僕が立ち止まって見ていると後ろから
「綺麗でしょ?これ、あたしがぜーんぶ管理してるんだ。この鳥みたいな花は、ストレリチアって言ってね、和名は極楽鳥花って言うんだ。花言葉は輝かしい未来。南アフリカが原産で、5月から10月が見頃だよ。こっちの白い花畑は曼珠沙華。ヒガンバナって言った方がわかりやすいかな?サンスクリット語で天界に咲く花って意味があるけど、日本では墓の近くに咲いているから、不吉って思っている人が多くて…あ、ごめんね。喋りすぎた」
慌てて謝る眼鏡をかけた小柄な女性。髪はロングでふわふわしている。
「いえ、気にしないでください」
僕が答えると、その人は目を輝かせて
「わぁ!君、話せるの?凄いね!嬉しいな。まさかモンキーオーキッドと話せる日が来るなんて!噂通りだね」
「噂?」
「天界で有名だよ?植物に転生した子がいるって。どんな姿してるか、とっても気になってたんだ!ねぇ、君の事教えて!」
✱
その頃、リンは誰かに電話をかけていた。
「あ、もしもし?ライちゃん」
「何ですか?今、忙しいですけど」
「そっちに例の子、行くって言ってたよね?」
「はい」
「植物のまま、行かせちゃった!ごめんね!」
「えぇぇぇ!!困ります!」
「ミドリにバレる前に、確保して何か動物とかでもいいから、擬態させて」
「リン様、後で怒られますよ?」
「あははー。だねー」
「だねーじゃないです!」
「ごめんごめん。この恩はいつか返えすから。じゃ、おねがーい」
「お願いじゃ『ブチ』『プープープー』
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