1巻 あらすじ

5/13
前へ
/13ページ
次へ
廊下は広く長いけど、不思議なくらい誰もいない。 左右を見渡すと、綺麗に手入れされた庭園がある。 僕はふと、あることに気がつく。 (今話せるし、動けるけど、よくよく考えたら植物なんだよな。名前忘れたけど。普通に考えたら異常だよな。むしろ誰にも会わない方がいい気がする…) そんな事を考えながら、歩いているとオレンジ色の鳥のような花と白い花畑が目に入った。僕が立ち止まって見ていると後ろから 「綺麗でしょ?これ、あたしがぜーんぶ管理してるんだ。この鳥みたいな花は、ストレリチアって言ってね、和名は極楽鳥花って言うんだ。花言葉は輝かしい未来。南アフリカが原産で、5月から10月が見頃だよ。こっちの白い花畑は曼珠沙華。ヒガンバナって言った方がわかりやすいかな?サンスクリット語で天界に咲く花って意味があるけど、日本では墓の近くに咲いているから、不吉って思っている人が多くて…あ、ごめんね。喋りすぎた」 慌てて謝る眼鏡をかけた小柄な女性。髪はロングでふわふわしている。 「いえ、気にしないでください」 僕が答えると、その人は目を輝かせて 「わぁ!君、話せるの?凄いね!嬉しいな。まさかモンキーオーキッドと話せる日が来るなんて!噂通りだね」 「噂?」 「天界で有名だよ?植物に転生した子がいるって。どんな姿してるか、とっても気になってたんだ!ねぇ、君の事教えて!」 ✱ その頃、リンは誰かに電話をかけていた。 「あ、もしもし?ライちゃん」 「何ですか?今、忙しいですけど」 「そっちに例の子、行くって言ってたよね?」 「はい」 「植物のまま、行かせちゃった!ごめんね!」 「えぇぇぇ!!困ります!」 「ミドリにバレる前に、確保して何か動物とかでもいいから、擬態させて」 「リン様、後で怒られますよ?」 「あははー。だねー」 「だねーじゃないです!」 「ごめんごめん。この恩はいつか返えすから。じゃ、おねがーい」 「お願いじゃ『ブチ』『プープープー』
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加