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「擬態?」
「貴方が今なっている植物は『ドラクラ・シミラ』別命『モンキーオーキッド』。ラン科の植物で、花はキノコに擬態しているそうです」
「キノコですか?猿かと思ってました」
「そう、見えますよね。花粉媒介の為らしいですよ?その香りで、昆虫を呼び寄せるそうです」
「詳しいですね」
「私の仕事は女神様の補佐なので、個人情報は資料として共有されます」
「プライバシーは!?」
「安心してください。あくまで共有されるのは、大まかな概要だけです。しかし、貴方の場合は少し特殊なので、他の人よりは詳しく書いてありました」
「特殊って…。さっきも言っていましたが、僕の身が危ないって、どういう事ですか?」
「実は、人間から植物に転生したのは貴方だけなんです」
「え…」
「大抵人間だった方々は、意思疎通出来そうな者に転生なさいます。個人的意見ですが、ほとんどの人が孤独が苦手という事でしょうか」
「前に、電化製品や衣類になった方もいると聞きましたよ?」
「あくまで、人それぞれですから。余談はこれくらいにして、早くして下さい」
(肝心な事をはぐらかされたような…)
僕は内心モヤモヤしたまま念じた。
(なりたいものーなりたいものー)
そんなもので簡単に、変身できるとは正直思っていなかった。でも、期待せずにはいられなかった。
(なれるなら、人に………)
転生して散々な目にあった僕。短期間に色々あって心の余裕なんて無くなった。そんな中、ようやく見つけた希望。異世界らしい日々を送りたいと、切に願う。
『ポフッ』
「…どう、ですか?」
目を開けるのは怖いので、恐る恐る聞いてみる。
「成功です」
僕は、そっと目を開けた。
「えっ!ちょっ!地面近っ!!」
「それはそうですよ。ミミズですから」
鏡を出され、自分の姿を見る。
「うん、僕、ミミズ♪」
(期待した僕が間違っていたのかもしれない)
期待してしまった恥ずかしさと、再びミミズになってしまったショックで、僕がうなだれていると
「元気、出して下さい。他のミミズよりは、目が見えるだけいいじゃないですか」
「あ、本当だ」
言われてみると、転生した時は見えなかった、視界がある。
「一応他の方には、スキル習得で目が見えるようになった、と言ってくださいね」
「他の方?」
「そうですよ?これも聞かされていませんでした?」
「聞いていなかったというか、それぞれだと思っていたので…まさか他の方々との交流があると思っていませんでした」
「はぁ、あの人は…」
補佐の人は呆れた表情をして、話を続けた。
「まず1つ目の部屋で、受付をします。次に、扉が3つあり、どこに行くか案内されます」
「3つの扉ですか」
「詳しい説明は、後ほど話します。その姿では、時間がかかりそうなので、私が案内しましょう」
補佐の人は、そっとしゃがんで、僕の目の前に手を差し出した。
「では、行きましょうか。訓練場へ」
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