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「その前に、他のものになれるか、試してもいいですか?」
「残念ながら、その時間はありません。姿が変わる所を、誰かに見られる訳には行きませんので」
「そうですか…」
渋々僕は、差し出された手のひらに乗る。
「揺れると思いますが、我慢してて下さい」
もう片方の手も横につけ、僕が落ちにくいようにしてくれた。見た目は細く、骨っぽい感じだったが、乗ってみると弾力を感じる。
「さっきの話ですが、3つの扉とはなんですか?」
「転生者の皆さんは、大まか3つに分けられます。1つ目は、猛獣や魔族に転生した者。2つ目は、猛獣以外の動物と人間になった者。3つ目は、該当しないそれ以外の全てです」
「最後だけ雑ですね」
「お恥ずかしい話、天界も人手不足でして…AIを導入しようかとは思っているんですけどね。なかなか…」
「大変なんですね」
「すみません、転生する方にこんな話」
「気にしないでください。ここに来てもう慣れました」
色々ありすぎて。
「そう言って頂けて助かります。話を戻しますね。分けられた後、それぞれの扉の中へ入って頂くと、訓練場へと繋がる部屋があります。そちらで、訓練場利用についての説明があります。すみません。片手、使うので移動してもらっていいですか?」
話を聞いている間に、扉の前に着いていた。
(大きい…いや、僕が小さいのか。)
「あ、気が付かなくて、すみません。ここまで、ありがとうございます」
「気にしないでください。仕事ですので」
中に入ると、多種多様な方々がいた。互いに話していたり、待合席で座っている方もいる。
「本来であれば、こちらの機械で受付します。窓口は11ヶ所あり、番号でお呼びします。貴方は、私がこのまま対応しますね」
「色んな方々がいますね」
「はい。ですが、こちらは日本支部なので、一応、元日本で住んでいた方々です。後、本当に気にしないで下さい。サポートを受けるのは貴方だけではありません」
「と、言いますと?」
「漫画やアニメの影響で、皆さん発想力がとても豊かになったんでしょうね。衣類になったり、自動販売機になったり。動けない方も多いんです」
「その方たち、訓練できるんですか?」
「意思はありますから。どうとでもなりますよ。私達は、その方の内面を見ていますので」
僕は、何となく理解できる気がした。事実、僕も植物になって動けなかったし。…あれ?
「天界では僕、話せてますし、動いてましたよね?」
「天界は、その方の意思で、力が加わります。訓練場内もここ程ではありませんが、多少加わりますので。その方がスキルとしてものに出来れば、転生後も使用可能という事です」
「ありがたいことですけど、それ、危険な考えの方は危なくないですか?この原理に気づいて、悪用されるかも…」
「そうですね。100%はないので、可能性はあるでしょう。現に、詐欺も防げてない訳ですし。その為の特殊なチームもいますが…おっと、話しすぎました。雑談はここまで。あなたが行くのはこの3番目の扉」
補佐の方は、顔を近くし小声で
「決してバレないように。たとえ、天界の人間であっても」
僕に念を押してきた。
「最後に、聞いていいですか?」
「なんですか?」
「窓口が多いのは、何故ですか?」
「子供や海外から移住してきた方、誰かと一緒にいたい方、クレームを言いたい方など、扉の案内だけでは難しい方々への配慮です。では、お気をつけて」
「今まで、ありがとうございました」
僕が会釈をすると、補佐の方も会釈してくれた。僕は扉の方を向く。すると、自然と開いた。
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