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ネイビーの雨傘はどこ?
それからも毎日、10分休みも放課後も、暇さえあれば上級生の部屋の前をウロウロしていたが、一向に彼は見当たらなかった。
入学式からひと月が経ち、別の高校へ進学した遥と久しぶりに会っていた。
「ねぇ~? 翼は目的達成出来そうなの? ネイビーの雨傘とスカイブルーの雨傘で、デ―トするって言ってたこと」
「目的ねえ~、その肝心なネイビーの雨傘が全く見当たらないの」
「えっ〜? まだ会えていないの? それって一番最悪なパターンじゃないの?」
「最悪?」
「そうよ、国際高校にはいない。例えば3月に卒業したってこと」
「そんな…だったら私のやってきたことは無駄ってこと? うわ〜ん、私ってマヌケ!」
遥に言われて初めて気がついた卒業…という文字。
自分の浅はかさに、テ―ブルに頭を打ち付け、何も考えられなくなった。
このひと月、全校生徒の顔を拝んだ、と言っても過言ではない。それなのにこの状態は、最悪を認めるしかないのか。
「まぁ、縁がなかったってことでしょう、他を探しましょう」
遥は、気軽にそう言って帰って行ったが、進路を変えても会いたかった気持ちを、そう簡単に諦められるか!
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