五十嵐 輝

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五十嵐 輝

アルバムに齧りつくくらいに顔をつけて、捲っていったが、クラス毎の集合写真は顔写真が小さく、それらしい人が沢山いて判断がつかなかった。 この人かな? いや髪型が少し違うかな? こっちの人にも見えるし… 翼は、自分の記憶がいい加減だったことを、改めて自覚した。 諦めかけた時、生徒会委員と表示された写真に、まぎれもなくネイビーの雨傘の中で見た彼がこっちを見て微笑んでいた。 「いた! いたよ! この人! この人よ! この人! 名前は…い、いがらし、てる?」 写真の下には、右上(五十嵐 輝)と書かれていた。 山田さんにお礼を言って家をおいとました。 うふっ! 分かっちゃった! いがらし、てる、いがらし、てる、翼の頭の中は、いがらしてるでいっぱいになっていた。
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