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仄かな想い
急いで上履きに履き替えていると後ろから
「つばさ〜! さっきから何度も呼んでいるのに〜」
「あっ! ごめん! わからなかった」
声をかけていたのは、親友の山根 遥だった。
遥は、ニヤニヤしながら
「相合い傘で登校するなんて、やるじゃん!」
「相合い傘? 違うよ! 傘を持っていなかったから、親切に声をかけてくれた知らない人だよ」
あっ、お礼は言ったけど、名前聞くの忘れた。聞けば良かったと、今頃になって思った。
「へぇ~、でも、後ろから見てたら、何だか話が弾んでいい感じに見えたけどなぁ」
「うん、フランス人の話で盛り上がった」
「はぁ~? フランス人?」
あれ? 誰かさんと同じ反応?
キ―ンコンカ〜ン!
「あっ、始業ベル、早く行こう」
これ以上は誰にも言わない、彼と二人だけの秘密の話にしておこう。
翼は、遥を置き去りにして、教室へと駆け出した。
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