突き進む

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その閃きは 「私、進路を変える。隣の国際高校にする」 遥は目を丸くして 「何言ってるの? もう2学期も中間だよ。受験まで3ヶ月あるかないかだよ」 「大丈夫。行こうと思った高校と偏差値あまり変わらないもん。なんとかなる!」 翼は、良くも悪くも思い立ったら真っ直ぐ突き進む行動力は、誰にも負けない。 「お母さん! 私、進学希望校、変えるからね」 「この時期にあんた何言ってるの? 先生が無理だって言ったの? 遊んでばかりで勉強さぼってばかりだから…」 「違うの! 偏差値は殆ど変わらない…ちょっとだけ上かなぁ~」 「でっ? どこにしたの?」 「隣の国際高校にした」 「国際高校? だって、徒歩通学は嫌だからって、地下鉄通学できる学校にしたんじゃないの?」 そう、私は、幼稚園から小学校、中学までは、徒歩圏内ご近所さんって感じだったので、更に高校も徒歩通学というのだけは避けたいと、電車通学できる別の高校を希望していた。 でも、背に腹は代えられない。そこは妥協するしか、憧れの彼に会える方法はこれしかないと決心した。 「いいの、いいの、ほら、通学費浮くし、私も楽ちんだし」 翌日、担任にも変更を願い出ると、こんな時期に何も問題ないのなら、あえて変更することはないと反対されたが 「国際高校の文化祭に行ったら、とても興味が湧き、ここで勉強したいなと思いました」 と、行ってもいないのに、嘘八百で渋々OKをもらった。 唯一、(よこしま)な変更の理由を知っている遥は、啞然とした顔だったが 「応援するから、頑張って! 会えるといいね」 と言ってくれた。 さぁ! 私のネイビーの雨傘の彼に会う戦いの第一歩が始まった。
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