あなたが嚙んだ指

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同じ男とは思えないその重量に、うっとりとした顔でおれはしゃぶりつく。 ずっとこれが欲しかった。 おれが、ずっとずっと求めてやまないのは、この、はち切れんばかりの熱だ。 「……っく、晃……」 頭を撫でられて嬉しくなる。 尊が気持ちよくなっているのがわかると、もっともっとしたくなる。 「上手」 思わず出た、という吐息がおれをもっと昂ぶらせていく。 「も、いいよ」 「口に出して」 「だめ。……離せ、晃」 おれは首を振る。 尊を味わいたい。あの、口内に一杯に広がる尊の味を、忘れてなんかいないから。 「……く!」 逃さず咥え込み、奥の奥まで尊を感じた。 震える腰で、耐え切れず尊が熱を吐き出した。 どくんどくん、と流れ込む濃さにおれは愛おしさを感じて、最後の一滴まで漏らさないように飲み込んだ。 鼻の奥にまで広がる尊の生命力の匂いが嬉しくて涙が出そうだ。 「美味しい」 唇から零れ落ちた一滴さえももったいなくて、おれは舌を出してペロリと舐める。 その仕草を見て、尊は低く唸った。 「なんだよ、お前エロすぎ」 「え?」 「この、口」 荒く息を吐きながら尊が覆いかぶさってくる。 そのまま貪るように唇を吸われて、飲みきれない唾液が喉元を滴り落ちてゆく。 「なんなの」 強く髪を引っ張られる。その痛みさえも刺激となって、おれの中心は再び頭をもたげ始めていた。 「普段はあんなにつまんなそうな、おとなしい顔をしてるくせにさ」 そう囁きながら尊の手が体を弄りだした。 「クソマジメな眼鏡をかけて白衣を着て、すました顔をしてるくせに」 ____眼鏡を外してちょっと弄ってやれば、もう別人だもんな。 晃に見つめられると、体の芯に熱が燈ってどうにもならなくなって、乱暴に犯してやりたくなる。 「ああ」と、尊は心の底から満足げなため息を吐いた。 「これからどんなことして啼かせてやろうかって考えただけで、燃える」
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