あなたが嚙んだ指

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「お前のココ、こんなに広がって……おれのこと全部飲み込んでる」 尊の指先が這い、繋がっている場所へと伸びてきた。 飲み込んだその場所をゆっくりと弄って、その刺激におれの中がキュ、としぼむのがわかった。 「ン……」 尊から声が漏れた。 「締め付けすぎ」 「だって……」 空いたほうの指がおれの唇をなぞりだす。その指さえ味わいたくなって、舌を絡めた。 「はは……晃、すごいな」 尊の指を舐めながら、おれはゆっくりと腰を動かし始めた。 「ん……」 「ひかる……」 鏡に映る己の姿が浅ましいくらいに尊を貪り喰っていた。尊の全部を喰らい尽くしてしまいたい。 「もっと、もっとして。尊」 「晃」 チッ、と舌打ちをして尊がおれの中からいなくなる。 一瞬できた空洞にさみしさを感じて尊を見ると、そのまま転がされて、のしかかられた。 痛いくらいに開かれた脚の間に、尊の逞しい体が割り込んで、抱きしめられたまま再び貫かれる。 「あ_____ああ、あ!」 何度も遠慮のない動きで尊が腰を打ち付けていた。 その度に落ちる尊の汗が、おれの体を濡らしていく。 「やあ……っ、もっと、して」 「壊すぞ」 壊れてもいい。 尊になら何をされてもいい。 「あ、ああ……っ!」 「ひかる、……」 貫かれて、震えては吐き出すそれがどちらのものかもわからないほど、おれたちは貪りあっていた。 おれのことをこんな風に乱れさせるのは尊しかいない。そして、きっと尊にとってもおれしかいない。 いつ果てるとも知らない快楽の海に一緒に沈んでいけるのなら、それはとても幸せなことだ。 「……あ」 視界が霞んでいく。もう、どこにも力が入らない……そう思った瞬間、おれの意識は暗闇へと沈んだ。 髪をなでられる感触がきもちいい。 抱きしめられる腕の温かさも、時折おでこに触れる唇の柔らかさも。 満たされていく。 ____ここは・・? ふと目を開けると、ほのかに灯るあかりに照らされて、おれを見つめる尊の顔があった。 「目ぇ、覚めた?」 「うん」 さっきまでドロドロだった体もキレイに清められて、しっかりとふとんに包まれている。 素肌にシーツのサラサラとした感触が心地いい。 「なんか、全身痛いけど・・」 そうぼやくと、尊が嬉しそうに微笑んだ。 「だって、たくさん無茶したもん」 「・・・うん」 さっきまでの荒々しさを微塵も感じさせない尊の声音に、おれは懐かしさを覚えた。 昔からそうだった。 どんなにベッドの中で啼かされても、その後の尊はとっても優しくて。それがとても大好きだった。
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