5色の草!

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5色の草!

 あるところに、同級生の子ども達はもちろん、他人と話すのがうまくいかない男の子がいた。 彼は相手と言葉のキャッチボールをすることが、とにかく不得意であった。  何故ならば、相手が話しをまともに聞くことなく自分が勝手に喋ったり、逆に人の話を聞く側になろうとしても、その内容とは全く関係のないことをひたすら一方的に話し出す……そんな子だったのだ。 今は、両親と彼の三人だけで自宅に過ごす時間だけが増え、彼の独り言は日ごとに増え続けていくのである。 母「あなたどうしましょう…響ったら庭にいる草や虫にまで、一方的に話し続けるようになってしまったわ!」 父「う〜ん…僕も何度かあの子に、話す時は相手の言葉をしっかり聞いてからにしようねと伝えてきたんだけどなぁ。そんな言い方じゃやはり足りなかったのだろうか?」 母「そうかも知れないですわね…でもどうしましょう。今日までいろんな精神科の先生方に相談しても、『まずは、お子さんの心がどんな状態なのかちゃんと理解してあげてください。』としか言ってくれなかったんですよ? あの子、話す内容が混雑しすぎて何を伝えたかったのもかさっぱり分からないのに!」 父「落ち着いて母さん。とにかくこれからも、僕達の出来る限りのことはしていこう?」 母「そ、そうねあなた…ごめんなさい」 父「うん。ところで響はなぜ、さっきまで虫を追いかけていたのに今は急に大人しくしているんだろう?」 母「本当ですわね。少しだけ様子を見てみようかしら?」 父「ああ、そうしてみよう……ん?なんだあれは?」 母「あら?あんな所に、5色に輝く草なんて生えてましたでしょうか?」  両親は外にいる息子が急に動かなくなった所を確認すると、そこに生えているはずのない5色に輝くその草は、響の前に突然姿を現していた。
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