涙よ届け

15/21
前へ
/21ページ
次へ
「お疲れ様。お茶のおかわりで身体を温める?」 絶妙なタイミングで浅葱さんが声をかけてきた。 僕はのみかけのまま冷えた茶を飲み干した。 「いえ、大丈夫です」 そう言って立ち上がったら、少しふらついた。 「もう少し休んだほうがいいんじゃない? タバコ屋のほうの畳に布団を敷きましょうか?」 「いえ、そこまでは......。 それに、早く帰らないと、ち、父......お、お父さん......」 また涙がでてきた。 またティッシュで拭いた。 浅葱さんが、そっと背中を撫でてくれた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加