涙よ届け

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葬儀や通夜や納骨の諸々が終えてからも、僕は落ち着かなかった。 そのまま大学の授業にも出なかった。 「もう8月も終わるのを知ってる?新学期からは大学に行きなよ」 開け放したままのドアから、父が僕の部屋に入ってきた。 「父さん、今日、何日だっけ?」 「30日だよ。正美(まさみ)ちょっと、おつかいを頼んでもいいかな?」 音楽を聴いていたヘッドフォンを外したら、父に言われた。 「おつかい?子供じゃないんだからさ」 「親からすればずっと子供だよ」 「片方になったけどね」 「夫婦は永遠に夫婦で永遠に両親だよ」 「のろけてるのか、励ましてるのか、どっち?」 「両方」 「まいったなあ、それで?おつかいって?」 「タバコ屋まで」 「切れたの?自分で行きなよ」 「タバコじゃないんだ」 「タバコ屋なのに?」 「行けばわかるよ」 そうして父は細長い茶色の封筒を出してきた。
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