涙よ届け

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こうして僕は裏市で歌う。 父側の仕事の能力を受け継いだのだ。 誰かに伝えたいのに、伝えられない想い。 カタチにならない、声にならない、そんな気持ちを。 そんな言葉のカケラを拾い集めて、歌にしていく。 それを望む相手へと歌いに行って届けている。 直接に行ける場合もあれば、夢の中に入ることもある。 そういう稼業を僕は始めていた。 お父さん、お母さん。 『どんなカタチでも親を喜ばせていたい』 これは、そんな風になってますか? 僕は喜びの涙を、みんなに届けたいのです。 ――完――
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