涙よ届け

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座っている痩せた彼女は小柄がイメージだったけれど、立つと それなりの身長だった。 168センチの僕より少し低いくらいだったのだ。 そして背筋を伸ばした美しい姿勢で、しっかりとした足取りで 奥に向かいドアを開けた。 「はあ?」 商店街の一角にある小さな店......。 それには値しない広々とした空間がそこにあった。 壁のあちこちにキャンドルが設置された薄明りの中で、吹き抜けの 天上の解放感の中で、いくつもの筒状の木製の何かが立っている。 「小野崎美幸さん、うん、この筒で間違いないわね」 浅葱さんが、形容し難い仕組みの装置に付いたハンドルを回した。 すると、およそ2メートルくらいの筒が上下左右に揺れ動いて ひとつの筒が目の前にきて、そして螺旋を描いて開いた。 そこには......。 小さな小瓶が等間隔で、やはり螺旋状に並べられていた。
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