ある配達員

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 やあ、僕の名前は飯津羽場(いいつうば)!!  出前や日用品の買い出しなんかを請け負う配送サービスに登録して、配達員をやっているんだ。  世の中ではいろいろ言われる職種なのは分かっているけれど、僕はこの仕事が大好きなんだ。  そりゃもちろんお客の中にはいろんな人がいて、不愛想な人とかルールを守ってくれない人なんかも多数いる。怒鳴られることだってある。  安定して収入があるとも限らないし、天候や交通事情次第で危険な目に遭う事だってある。  それでも僕がこの仕事を好きなのは、ひとつには自転車が好きだって言うのがある。  僕の愛車であるこの自転車と共に仕事ができるなんて、とっても素敵だと思わない?  それともう一つは、これは結構照れ臭い事なんだけれど、待ってくれている人の笑顔が見られるから。  美味しいご飯の持つ力というのは大きくて、しかめっ面で出てきた人がパッと笑顔になることもある。  ありがとうとかご苦労様とか、ひと声かけてくれることだってあるんだ。  その時の達成感というのかな。  ある種の承認欲求というものなのかもしれないけれど、認めて貰えることの嬉しさって他に代えがたいものがあると思うんだ。  だから僕は一人でも多くの人に少しでも早く届けたいんだ。  そうして喜んでもらえることは、今の僕にとっての生き甲斐でもあるんだ。  今日も僕は走る。  空腹を、満たされぬ心を、少しでも僕の配達で満たしてあげるために。  一秒でも早く届けなきゃ。  だから僕は全力でペダルを漕ぐんだ。
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