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ホンドダヌキのスポンは、人を化かす事が好きな化けダヌキだった。
生まれてからこの方、他のタヌキより妖力が高く『化け学』の師匠である老ダヌキから早急に免許皆伝になる程だった。
若気の至りか、タヌキのスポンは人間に化けて人里へ降りては、街の人間達をまんまと騙して混乱するのを裏で腹を抱えて笑い転げていた。
特に痛快だったのは、強盗犯が逃走していくのをたまたま見つけたタヌキのスポンが、強盗犯の仲間に化けて割って入って逃走用の車・・・妖力で放置廃車に催眠かけたもの・・・をまわして一緒に逃亡してそのまま警察署に送り届けた事だ。
この強盗犯の慌てぶりは、タヌキのポンポにとって何時までも心に残る痛快劇だった。
・・・俺は化けダヌキで良かった・・・!!
・・・人間を混乱させるだけでなく、人の為にも化け術を使えるんだもん・・・!!
それからも、タヌキのスポンは人間以外の鳥に化けて高い屋根に上がった子供のボールや木や電線に引っかかった風船を取ってあげたり、窓に這いつくばる痴漢のストーカーを攻撃して退治したり、人里で『化け術』を駆使して人間の為に尽くしてきた。
無論、人間にチョッカイ出す悪戯もだ。
人里に行って食い物を失敬するのに、『化け術』を駆使する事もあった。
タヌキの状態で人里に行って、人間の餌やりで腹を孕ませた時もあった。
そんなこんなで、『化けダヌキ』のスポンの楽しい月日は流れた・・・
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