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-1- 出会い
喫茶店でのバイト終わり、時刻は18時過ぎ。駅のホームは人混みに溢れ騒がしい。今日は金曜日のせいなのか、いつもより人通りが多い気がする。
大学のために田舎から上京してきた初めての一人暮らし兼都会暮らしは驚きの連続だ。駅は人で溢れ返り電車は発車したと思ったらすぐに次の電車が到着する。バスも1日に数本なんて事はある訳もなく。これが都会なんだとこの一年身に沁みた。
南雲 一歌、大学2年生。
都会生活2年目の秋、ようやく都会暮らしにも慣れてきた。誰も知り合いがおらず不安だったがサークルのおかげで友達は数人でき充実している大学生活。友達には「彼氏作りなよ」と言われるがあまり興味が沸かなかった。彼氏いない歴年齢の私には関係ない話だ。今は好きな人もいないし好きじゃない人とは付き合わない主義だ。誰でもいいってわけじゃない。そんなこと言ってるから未だに彼氏いないんだよー、と棘のある言葉で心のライフがすり減っていく。
彼氏なんていらない!!
なんて自分の中で振り切って最近はバイトばかりの日々だった。
人の隙間を縫ってようやく改札に辿り着いた。都会にきてから身についた、人の隙間を通るスキルは意外と重宝している。カード内にお金が入っていない事を思い出し販売機向かうと運賃表を見ながら悩んでいる女性がいた。
おさげに漫画のキャラで出てきそうな分厚いメガネにマスク。高身長でロングコートがよく似合っているその姿はなんだか不思議と目を惹かれた。
「あの‥よかったら見ましょうか?」
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