俺はオメガ

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俺はオメガ

いくら抑制剤を飲んでいるからとはいえ、やはり番のいないオメガは不安だ。 例え襲われても自己責任だと言われ、運悪く妊娠でもしたら一人で育てていかなければならなくなる。 子供を抱えて働けないオメガの行き着く先は決まっている、わずかなお金でアルファの慰み者となってお金を得るしかなく、みじめな人生を歩くことになる。 恋人が居ないことを除けば、俺の生活は快適だった。 例えオメガだからと言って、差別を受ける事も無く黙っていても女子も男子も言い寄ってくる。 モテると言えばそうだが、俺がオメガでも構わないと言うやつも多い。 運命の番を意識しなければ、付き合う相手に不自由はしなかった。 可愛い後輩男子に告白され、今日も二人でデートだった。 映画を見てショッピングをして美味しい料理に舌鼓を打つ、その後はお決まりのセックス。 彼は夢中で俺に奉仕してくれる、フェラはもちろん俺が達くまで何度でもやらせてくれる。 本当なら俺はオメガだから、受けだと思われがちだが俺はどっちもいける。 もし、運命の番が現れれば俺は正真正銘の受けとして、アルファを受け入れる覚悟はできている。 女子と付き合う気はないが、男子なら特に好みが決まっているわけではない。 年上でも年下でもイケメンでもそうでなくても関係ない、ようするに誰でもいい。 番を持たないオメガにとって抑制剤は欠かせないが、それでも週に1,2度我慢できなくなる時がある、ほとんどの男子はそういう時自慰で済ませるが、自慰なんて俺のプライドが許さない、その時のために付き合う男をキープしておく必要があった。 要するに抑制剤はヒートの苦しみを抑える目的と、自分を守る役割もある。 だかその抑制剤には副作用があり、飲みすぎると妊娠できなくなる。 それだけは避けたかった、いつか運命の番に逢って子供が欲しい、そのためなら抑制剤の代わりに好きでない相手でもいいから、セックスでヒートを乗り切る。 それが俺の考えだった。 発情の周期は3か月に1度で1週間激しいヒート状態になる。 抑制剤を飲んでもその期間は外へ出ることも他人と接触することも避け、部屋から出ないようにしている。 それ以外の時はおおむね安定しているが、たまにアルファが近くに来ることで、思いがけず反応することがあった。 だが、いくらアルファでも誰にでも反応するわけじゃない、身体が反応する条件が今一自分でもわからず、外出中に出会うアルファに気を付けろと言われても、気の付けようがなかった。 大学には多くのアルファが居るが、教師として生徒と接触しても同僚ともどのアルファにも反応したことはなく、大学での生活に不安はなかった。
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