解決策

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解決策

俺の中に怜への拒絶の気持ちがあるなら、そしてそれが拒絶反応として現れるのなら、あえてそれを利用するのはどうかと怜から提案があった。 怜と直接逢い、拒絶反応が起きたところで敢えて近づき、俺の深層の中の怜のイメージを変換させることができれば、拒否反応を克服できるのではないか・・・・・ だがもし、それがうまくいかなかった場合・・・・・拒否反応は限界を超え、命の危険も考えられる。 そう怜から提案され、俺はその案を受けることにした。 だが、拓磨は反対だった。 安全が保障されない以上するべきではないと言い張った・・・・・ このまま怜と逢えない選択をするか、危険を冒してでも拒否反応を克服するために危険を冒すか・・・・・ 俺は迷うことなく、後者を選択した。 怜に逢えない選択など俺には考えられなかった、例えその為に命を危険にさらし、怜に二度と逢えなかったとしても、ただ見ているだけの存在などいらない。 怜と触れ合い、愛し合う関係が望みだった。 もうすぐ3か月に一度の発情期が迫っていた、あの激しいヒートを乗り越えるためにもアルファの怜に逢いたかった。 アルファの怜と愛し合い、番になれるなら俺はなんだってやる覚悟はできていた。 そして決行することにした。 俺の部屋に怜を呼び、二人だけで逢う決心をした。 仕事が終わって約束の時間に怜が部屋のチャイムを押す、鍵を開けてすぐにリビングへ移動する。 ソファに座って怜が来るのを待つ。 怜はドアを開け俺がソファに座るのを見届けてから、リビングへ入る。 そして俺の横に座る、そこで拒否反応が起こったらすかさず俺を抱きしめる。 あえて嫌いなものや嫌なものに接触することで、苦手意識を克服すると言う強硬手段だった。 「獅将、止めるんだ」 「拓磨、俺このまま怜に逢えないのは嫌なんだ」 「・・・・・お前に何かあったら……そんなにあいつが好きなのか?命を危険にさらしてもか?」 「そうだ、あいつ以外に俺に相応しいアルファはいない」 「わかった、だが無理はするな」 「拓磨、ありがとう」 まるで戦場へ赴く友人への言葉のような悲壮感が漂っていた。
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