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運命の番
ずっと探し求めていたαは、子供の頃から一緒にいた月迫 怜だった。
今思えばあの頃すでに、怜の事が好きだったのかもしれない、だから突然目の前からいなくなった怜を、忘れる事でその悲しみから逃れられた。
始めての発情期が来た日、怜に襲われそうになったのも、自分のフェロモンを怜が感じ取ったからだった。
優秀なαの怜が、これまで誰とも番にならなかったのは、俺を探していたからだと言った。
すっかり記憶から消した怜が、本当の自分の番だと分かった時、初めての時のように俺の身体は怜を求めていた。
荒い息を吐き出しながら、うなじを噛まれた時の衝撃と興奮は目も眩むほどの快感と身体中の血液が沸騰するような衝撃だった。
その時、自分の身体が怜と一つになったと確信した。
体を震わせ、二度目の絶頂を迎えた時怜も同時に吐精したのが分かった。
ペニスを引き抜いた怜が、逞しい腕で抱きしめた。
無言で抱き合ったまま、いつしかまたお互いを求め合っていた。
いつ終わるともしれない、αとΩの激しい行為は夜が明けるまで続いた。
怜と結ばれてから、自分の体質が変化したのが分かった。
発情の時期が来ても体の疼きは無くなり、怜がそばに来た時だけ、強い発情の状態で身体が疼き出した。
甘い匂いを感じるのも、怜だけになった。
うなじに怜が付けた噛み跡は今も時々疼き、自分が好きな人と結ばれたのだと嬉しくなった。
やっと見つけたαは、胸の奥にしまい込んだ怜だった。
これまで何人ものαに、告白まがいのことをした自分が恥ずかしい。
本当に欲しかったのはαでも番でもなく、ただひとえに幼馴染の月迫 怜だった事に今更気づいた。
怜の優しい腕に抱かれながら、満ち足りた気持ちが湧き起こる。
隣で眠る怜に、口づけを送って眠りについた。
そして、心の中でありがとうと呟いた。
Fin
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