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「いまわの言葉の届け人」 岩踊桜子先生
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| 基本情報 |
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https://estar.jp/novels/26246563
完結済
所要時間:14分 (8,000文字)
ジャンル:ヒューマンドラマ
過激表現:なし
あらすじ:
少年は新米死神のミスによりあの世に行けずこの世で生きることも出来ない存在に。
少年を哀れんだベテラン死神はある約束事との引き換えに『いまわの言葉の伝達人』の仕事を与えますが…。
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| テーマ |
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いやあ、その、死神って案外ドジっ子なんですね笑
死神のミスで死ぬとか……僕ならその死神を呪いますよ(^^;;
ところで、死神に呪いは効くのでしょうか?
今回は岩踊桜子先生の「いまわの言葉の届け人」です。
「死」を扱うストーリーではありますが、不思議とタイトルの響きが柔らいです。いいですね。
……ということで、テーマは「死」でなく、「死神」でもなく、「いまわの言葉」です。考察していきましょう。
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| 考察 |
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▶主な登場人物
【いまわの言葉の伝達人】
主人公。死神のミスにより、死んでしまった可哀想な少年。神様から生まれ変わる事の条件として「いまわの言葉の伝達人」をやる事になった。死神とのやり取りのおかげで、可哀想度合いが若干薄まっている。
【死神たち】
死んだ者の魂をあの世へ送り届ける尊い神様。たまに(?)ドジを発動する可愛さも持ち合わせている。
▶主な設定
【いまわの言葉】
「いまわ」は漢字で「今際」と書きます。臨終、死に際、最期、という意味を持ちます。つまり「いまわの言葉」とは「人生の終わりを告げる人の最期の言葉」です。
▶考察・読みどころ
まず、このストーリーの主人公についてお話します。
主人公には名前がありませんーーと、いうよりも思い出せずにいます。しかも、新米死神のミスにより、死んでしまった中学生くらいの少年です。成仏する事も生き返る事もできず、中途半端な幽霊になってしまいました。なんという無情……哀れ……
そんな少年に同情したベテラン死神が、神様に少年を助けてくださるように、お話をしてくれました。
そのおかげで、少年は60年後に生まれ変われるというのです。
良かったな! 少年!
……と、言いたいところなんですが、神様はある条件をつけました。
それが「いまわの言葉の伝達人」を勤める事だった。
神様ぁっ! この少年は死神のドジのせいで死んだのですぞ! 彼に働かせるんかい( ̄Д ̄)ノ
しかし、怠け者の僕と違って少年はピュアです。文句一つ言わず、その条件をすんなり飲みました。
おお、少年よ、頑張るのじゃぞ。゚(゚´ω`゚)゚。
以上、ここまでがオープニングです。
では、メインストーリーなんですが……
この作品は、もうじき死を迎える二人のお話によって構成されています。
一人目は、「山之内絹江」さん。
悲恋を経験し、鉄道会社の御曹司とお見合いして結婚したおばあちゃんです。
柔らかい言葉遣いからして、優しくて品のあるおばあちゃんのようですね。
伝達人の少年は、絹江さんの元を訪ねます。
年齢も年齢だけに、絹江さんは幽霊に近い存在である少年に驚くことなく、自分の死を受け止めます。そして、ある人に「いまわの言葉」を届けて欲しいと、伝達人に依頼します。
さて、そのある人とは? おっと、そこから先は本編を読んで確かめてください。
おばあちゃんのほろ苦い人生と、来世への期待がホロリと身に沁みます。
二人目は「仁科優太」くん。
なんと、小児難病の病院で治療を受けている5歳の少年です。
少年は優太くんの悲しい運命に心を痛め、彼のもとを訪れます。
幽霊の存在である伝達人の姿を見た優太くんもまた、伝達人に驚くことなく自分の死を受け止めていました。
少年ならば「お化け怖いー!」「死ぬの怖いー!」て泣き喚いてもおかしくはないと思うのですが……
どうしてなんでしょうか?
これには理由があってですね、ある少年を迎えに来た死神の姿を、優太くんが見てしまったというのです。
なんと、死神は優太くんに見られるという、ドジを発動させてしまったのです。主人公に引き続き、死神はまたしてもやらかしてしまいました。
……死神の姿を見るイコール、死期が近い。
まあ、そういう事で、優太くんは自分の死を悟っていたのでした。
とりあえず、死神たちのフォローをしましょう汗
死神たちは厳しい制約の中、彼らなりに仕事を全うしています。ドジを隠蔽したら、罰として己の存在を消されてしまいます。決して、いい加減に仕事をしているワケではないのです!
……と、死神の大変さを理解してもらったところで、話を戻しますね。
幼い優太くんにはお姉ちゃんのゆり菜ちゃんがいます。
彼はお姉ちゃんに「いまわの言葉」を伝達人に伝えますが、この言葉がなんとも……心に響きます(;ω;
そんなこんなで、優太くんはわずか5歳という幼さで生涯を閉じる事になります。詳細はぜひ、自分の目で見てみてください。
姉から弟に送った言葉は、最高にいいです。
あと、優太くんのお父さんはとんだクソ野郎、とだけ言って考察は終わりにしましょう。
▶印象に残ったシーン
姉のゆり菜ちゃんから弟の優太くんに届ける言葉がね、この作品の全てと言っても過言ではないくらい、本当にいい言葉なんです。
弟の死を乗り換え、未来を生きようとしているお姉ちゃんの強い希望が感じられます。
「いまわの言葉」て、死者から生きている者への言葉とばかり思っていたのですが、その逆もあるんですよね。
すみません、これ以上の言葉は浮かびません(ー∀ー;
是非とも本編を読んで、言葉にできない感動を感じて欲しいと思います。
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| まとめ |
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この作品は、妄想コンテストのために書かれただけあって、あっという間に終わってしまいます。そのせいか、読後の物足りなさは否めませんでした(TωT
……ていうのも、僕、この作品の死神が結構好きなんですよ笑
死神の世界にも新米やベテランがいたり、ミスして人を死なせたりとか。今度はどんなドジを見せてくれるのか……この作品の死神をもっと知りたいなと思いました。
岩踊先生はそのうち続編を書きたいと言っているので、続編を待ちたいと思います。
死神にドジ属性がついたらシャレにならん、という事がよくわかる作品でした(絶対にそういう話じゃない汗)
この感想文を読んで「いまわの言葉の届け人」に興味を持たれましたら、ぜひ冒頭のURLからご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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