最終日

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最終日

人間がこの街を綺麗にし始めてからしばらくたった。 僕の好きな街が帰ってきた。 緑溢れる公園。 ベンチ。 高くないビル。 ぬくもりあふれる地面。 沢山の人。 お嬢さん…ナナに感謝をしなければ。 高くないビルから羽を広げて風を切った。 彼女はどこだ。 だが。 どこを探してもナナの姿はなかった。 博士のもとに無事、帰れたのか。そうだといいが。 カラスはビルの屋上に着陸した。 そしてそのままきれいになった街を満足そうに眺める。 カー…カー… 屋上から街までカラスの鳴き声が響いた。 それは悲しそうでもあり嬉しそうでもある鳴き声。 そんな鳴き声にどんな意味が含まれているかは、人間たちには知る由もなかった。 完
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