【BL】続・試してみましょう

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森川と付き合い、1ヶ月。 自宅飲み中に森川がたびたび睨みつけてくるようになった。 「なんだよ?怒ってんのか?」 問いかければ、すんとした顔をする。 “言いたくありませんね”の時の顔なのだ。 「もーりーかーわー。俺は酒は楽しく飲みたいんだけど。態度悪いのがいちばん腹立つんだよ。」 森川は俺の家のキッチンで自分で勝手に作った焼きそばをビールを飲みながら、もしゃもしゃ食べている。 「聞いてんのか?言いたいことは言え。大人だろ。」 森川の目に涙が溜まってくる。もう酔ってるのか? 「なあ?森川?」 「だって。」 「ん?」 「穂積先輩はいっつも、俺の同期の女子ばっかりフォローして。あの子にモテようとしてませんか?」 まさかの、ヤキモチ?! 「俺の仕事もフォローしてくださいよー。」 お前は優秀だから俺のフォローなんかいらないだろ。 「あの子のこと気になってるんですか?」 なぜ?なぜ、そう思うの?どんな思考回路? 「穂積先輩、俺のこと独り立ちさせた時も、同期の誰よりも早かったですよね?俺のこと邪魔だったんですか?」 謎の思考回路だ。あの時、森川は誰よりも優秀だったんだよ。 「お前、仕事は優秀なのに。残念なこと言うんだな。ははは。」 冗談ぽく笑えば、森川は涙を流し始めて。 「笑うなんて失礼ですよ。俺は真剣に悲しいのに。」 小さい声でぶつぶつ講義してきた。森川は泣き上戸だ。 「えー。泣くなよー。」 「穂積先輩は俺に冷たいです。会社だって家だって、全然甘やかしてくれない。」 「はあ?会社で甘やかしたら変だろ。」 「じゃあ、家では甘やかしてくださいよ。」 酒が入っている森川は、とてもめんどくさい。
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