美しい王子様

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美しい王子様

あれからほぼ毎日お風呂あがりにするようになって、最早ルーティンみたいだ。 ソウは日に日に感じやすくなっていってる気がする。 この部屋の防音設備が気になる…。 それはそうと、今日は王族の方々との食事会だ。 今までご飯は3食部屋で食べていたが、こないだ王様が直々に来て誘ってくれた。 なので今日から朝食は一緒に食べることになった。 正直緊張しかない。 マナーとかもわからんし。 でも王様は割と気さくな人で、そういうの気にしないって言ってたから、それを信じて挑もう。 ちなみにソウはお留守番だ。 王族の食事会には護衛も使用人も入ってはならないらしい。 使用人に連れられ、扉の前まで来たが、細かい装飾の入った黄金の大きな扉を前に、帰りたくなってきた。 どうしようか…と思っていると、後ろから誰かが来た。 ブロンドの髪に青い目をした人形のような綺麗な男の人、歳は俺と同じくらいか? 身なり的に王子様かな? 顔がかなりタイプなんだが。 扉の前にいる俺と目が合ったが、スルーしてそのまま入って行ってしまった。 冷たいー…。 それに俺を見る目がなんだか…品定めでもしているかのようだった。 気分が悪い。 少しため息をついて憂鬱になりながら扉を開けた。 食事会といっても、部屋の中には俺の他に3人しかいなかった。 奥に座っているのが王様だな。 「よく来た、好きな席に座ってくれ」 ニコニコしながら手で椅子を指してくれた。 「はい、今日はお誘いありがとうございます」 そう言いながら、王様に近い席に座る。 俺の向かいにはあの無視してきた王子様(仮)がいる。 その隣には…たぶん王子様(2人目かな?)がいる。 こっちは愛想よく会釈してくれた。 王様が合図をすると、シェフが料理を運んでくる。 どれも美味しそうだ。 料理に舌鼓を打っていると、 「紹介が遅れてすまない。こちらが私の妻だ」 と、俺が2人目の王子様だと思った方を指差した。 え?男? …テンプレだけど、つまりそういうことか? 「…男性、ですよね?」 「あぁ、そうか。異世界には女性という性別があるんだったな。この世界には男性しかいない」 まじか。 ちなみに子供を産むためには、二人が結婚を約束して神殿に行き、祈りを捧げて儀式を行う…だとか。ちょっと怖いね。
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