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もうおっぱいを触れないのか…と落胆する俺。
王子…もとい王妃様が微笑んでこちらを見ている。
名前を言ってくれた気がするが頭を右から左へ行ってしまった。
どうしよう。
「その隣が私の息子、この国の王子だ」
王子様が会釈をする。
ぶすっとした顔してるな。
せっかく綺麗なのに。
「これ、名くらい名乗れ」
すかさず王様が言う。
やーい。
「はい、父上、申し訳ありません。
ルイ・ウィリアムスだ」
「坂本修です。よろしく」
社交的なスマイルを浮かべたつもりだったが、王子には顔を背けられてしまった。
なんだ、やっぱいけ好かないな。
顔が綺麗なだけに。
口の端がピクリと動く。
だめだめ、俺は大人、落ち着けぇー。
王様、王妃様と楽しく会話をしながらの食事は楽しかった。
マナーなども特に指摘されず、料理も最高級だし、とても良い時間が過ごせた。
また明日会いましょうと言ってお別れした。
ところが、食事会の部屋から自室に戻ろうとしていたら、王子から声をかけられた。
「お前」
と。
声の掛け方習わなかったのかな。
不服だったので無視して通り過ぎる。
「お前!止まりなさい!私が声をかけているのが聞こえないのですか?」
お前って御前って言いたいのかな?
崇め奉れよー。
気に食わなかったのでまた通り過ぎる。
「おい!」
「…止まってほしかったら、何ていうのがいいと思う?」
「なっ…私はこの国の王子ですよ!」
「俺は王様と同等の地位を持つ異世界人だよ?」
ぐっ…と悔しそうな顔をする。
あ、ちょっと気分良いかも。
「…止まって、ください」
「はい、良くできました。…で、なに?」
「…この国は私の父上が治めています。じきに私が王様となるでしょう」
「…だから?」
「お前はなんの仕事もせず、自由に暮らすことができる。こんなの、間違っています。見たところ異世界では平民だったのでしょう。自分の身分をわきまえてほしいのです」
わー。なんだこいつ。
まぁ確かに仕事はしてねぇ。
ヒモってことか。
正論っちゃ正論だな。ここが日本なら。
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