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「…でも異世界人が転移してこなければ魔法の均衡が崩れるんだろ?俺は向こうに家族も友達もたくさんいた。もう会えないかもしれないんだぜ?それでも来てくれたことに感謝してくれないの?」
家族はいない。
孤児院育ちだからな。
友達もたくさんはいない。
セフレって意味ならたくさんいるが。
ほとんど嘘だが王子にささってくれればいい。
「そうですか。寂しいのですね。いいでしょう、私の子分にしてあげます。」
んーーー?
「いや…」
反論しようとしたら、
パリンッと何かが割れる音がした。
隣の部屋からだ。
隣を覗くとどうやら花瓶が割れてしまったようだ。お掃除してて手が当たっちゃったのかね。
「なにをしているんですか!」
王子がキレた。
「これは私の大事な花瓶ですよ!」
あちゃー。
やってもーたな。
よりにもよってこいつの。
王様ならあの寛容さで許してくれるだろうけど、こいつかー。
弁償とか大変そう…。
「許せない…」
相当お怒りだ。
怒りで顔が赤くなってますよ。
「…まぁまぁ、ミスは誰にでもあるって。許してやんなよ。大丈夫?怪我無い?」
使用人の株は上げてて損はないなと思って助け舟を出した。
王子様?こいつは好きじゃない。
使用人達は必死に頭を下げながら、大丈夫です…と遠慮気味に答えた。
「お前には関係ないでしょう、黙って見てなさい」
王子のつり上がった目がギンッとこちらに向けられた。ひー、こわ。
他の使用人に腕を掴まれて部屋から出された。
「えっ…ちょ、いいんですか、あの使用人の方達」
「修様が巻き込まれてしまいます。殿下がああなると本人が納得するまで終わりません」
「王様呼んでくる?」
「王様の前では嘘をつくのです」
なんだあいつ最低じゃんか。
そうしている間にもヒートアップした王子が怒鳴り散らしている。
「もういいっ!花瓶を拾いなさい!」
お、収束するかな。
使用人達が急いで花瓶を拾う。
ダンッ
王子が足を振りおろした。
その先には彼らの手がある。
嘘だろ。
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