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部屋に入ると相変わらずお香の匂いが鼻につく雰囲気だ。
「今日はどうしました? 願いは叶わなかったです?」
占い師は見透かしたように聞いてきた。
「いや、言われた通り叶いました。しかし、私から上手く話しかけられなくて」
困ったような顔をするミズエ。今まで誰かをここまで好きになったことがないから当然だ。異性と意識すれば言葉が出て来ないのだ。
「大丈夫です。またチャンスは巡ります。今度はもっと話せる機会がありますから……それも相手から近づいてくれます。その時、勇気を出すことです。あの幸運の石が赤く染まる時が勇気の出し処です。ただ、そのチャンスはそう多くはありませんよ。努努忘れないでください……」
数十分の相談にミズエは得も言われる気持ちになった。
──あぁ、なんだか私の隣にタカシさんがいる未来が見える──
ミズエは高揚し明日を待った。
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