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ミズエの前に占い師がいる。それだけでミズエは落ち着きを取り戻した気分になる。
「あの……先生が言われた通り彼との距離は近づいてます」
出会った頃と違いミズエは占い師に心酔している。しかし、占い師は突き放すように言い放つ。
「あれから進展してないようですね」
「えっ? で、でも彼から話しかけてくれます」
占い師は呆れたように溜め息を吐く。
「いくら話しかけられても自分から前に進まないとダメです。そうしないとこの恋は成熟しません。それにこれが最後のアドバイスですよ。これ以上は幸運の石は輝きませんよ」
無言で頷くミズエ。
「幸運の石があなたにきっかけをもたらすのはこれが最後です……もう次はないのだから……最初に言った通り……」
「分かりました……そのきっかけを掴んでみせます」
ミズエは頭を下げ部屋を出て行った。
占い師は天を見上げる。後ろから声がする。
「ちゃんとミズエは願いを叶えるかしら」
「さぁ、チャンスは与えたのだから後は彼女次第。もしまたここに来るようなことがあれば……後は喰われるだけよ……」
「そう。もう彼女の本心と話すことは出来なくなるかもね」
「あなたも怖い女ですね」
占い師は微笑む。
「まさか……私は私の親友の願いを叶えてあげたいだけよ……その後は知らないけどね」
後ろから声を掛けた女はふふっと笑った。
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