私の心は檻の中

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 食事に誘われた当日、ミズエはタカシを待った。待ち合わせの時間通り彼はやってきた。夢のような時間を過ごす。しかし話は弾んだが彼に想いを告げるのことがなかなか出来ずにいた。  食事も終わり、二人並んで歩く。なかなか勇気が出ない。 「今日は楽しかったですか?」  タカシは何気に聞いてくる。もう、今しかないないと思った。 「はい。すごく楽しかったです……それで……また……」  そう言いかけた時にタカシのスマホから着信音が流れる。画面を覗きこむタカシ。スマホに出るタカシ。しばらく話をしていたがスマホを切るとミズエに告げた。 「ごめんなさい。ちょっと大事な急用が出来ました。また誘いますから今日はこれで……」  慌てるようにその場を去るタカシ。ミズエは何気に画面を見てしまった。そこには知らない女性の名前『トモヨ』と映し出されていた。  ──誰なの? そのトモヨって──  告げることも出来ず、ただ不安だけが残ってしまった。幸運の石は赤く染まったままになっていた。
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