私の心は檻の中

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 館の中に入ると薄暗くさっきまでの喧騒とした列とはうって変わって静かだ。ハルナは付き添いということで待ち合い室で待たされ、ミズエのみ占い師の部屋に通された。さらに暗い。何やら妖しいお香の匂いがする。奥では顔をベールで隠した女性が鎮座している。 「どうぞ。そこのお座りください」  ミズエは促され占い師の前に座る。目の前には大きな水晶がひとつ置かれているのみだった。 「よろしくお願いします」  緊張するミズエの前に紙とペンが置いてあり名前と生年月日を書くよう占い師から言われた。占い師の声は透き通るような声をしており声だけで見透かれた気分になった。 「ヤマグチミズエさんですね……今日は……ある男性との件でこちらにお越し頂いた訳ですね」 「えっ? あっ、そ、そうです」  こちらは何もまだ相談事を伝えていないにも係わらず伝えたいことを当ててきた。 「それにその男性に対して片想い中、出来れば振り向かせたい……それに……」  水晶に手をかざしミズエの目をベール越しに覗き込む占い師。 「将来をその男性と添え遂げたいようですね」 「いえ、そこまでは……」  占い師は薄ら笑いを浮かべたようにふふっと声を出した。 「ミズエさん、ここは心理学などを通してあなたの考えを言い当てる場所ではないんですよ。だから素直にならないと。あなたが強く願わないと叶うものも叶わない。それでいいんですか?」 「それは……」 「大丈夫……私はしっかりあなたが彼に導かれ彼があなたに導かれるようにいたします……それまで私の助言をしっかり聞いてくださいね。ただし三回までです。ここに来ていいのは……それ以上は来ないと約束してくださいね」 「は、はい……分かりました」  ──三回まで? それまでに私はタカシさんと結ばれるの?──
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