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「まぁ、そんな三回までと言われて焦らないでください……」
「えっ!?」
「心配はいりませんよ。ただしあなたの想い人は……」
水晶に手を当てたままミズエの目を見つめている。ベールで隠されているが感じる。
「まだあなたの存在に気づいていないですね……」
確かにまだ遠くから見つめるだけの存在だ。声を掛ける勇気が出ないのだ。
「焦る必要はないみたいですね……星の流れから彼はあなたに気づいてくれますから」
「そうなんですか? でも私、容姿なんか自信がないですし……」
「容姿ですか? 関係ありませんよ……あなたは自信を持って大丈夫です……これを持ちなさい。幸運の石」
目の前に出されたのは石というより薄気味の悪い目玉のような……玉だった。
「この石はあなたの願いを必ず叶えてくれます。バッグにでも忍ばせておきなさい」
「これをですか?」
手に取ると柔らかく本物と見間違うほどだ。正直これを持つこと自体躊躇われる。
「恐ろしいものではありません。それでは本日はここまでです」
ミズエは時間にして十分程度の占い時間に不満を持ったが試しに幸運の石と呼ばれるものをバッグに忍ばせた。
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