私の心は檻の中

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 次の日、ミズエはいつものように会社に向かう。昨日の出来事は本当だろうかと思いながらいつもの時間の電車に向かう。頂いた幸運の石は鞄に仕舞った。ミズエの勤める会社は日本でも有数の上場企業、住永(すみなが)商事。本社勤務のミズエの部署は総務部。彼は横浜支店勤務。現在本社と横浜支店が合同でプロジェクトを組み横浜支店の彼はこの期間、本社に出勤している。  先週、会社で彼を見かけ、清水課長に尋ねてみた。彼は横浜支店の長山(ながやま)タカシ主任と教えてくれた。その日の帰り偶然、彼を見つけた。帰り方面が一緒だったためそっと近づき彼の身の回りそっと確認した。左手の薬指を確認した。指輪はしていなかったし、指輪の跡も確認できなかった。彼が椅子に座りスマホをいじっていたが誰かに連絡をしている様子もなかった。  ──まるでストーカーだな──  なんて思いながら彼を観察していた。それからのハルナへの相談して占い師の元に行ったのが昨日。そして今日を迎えた。  いきなり、昼休みハルナがミズエの元に駆け込んで来た。 「今日、横浜支店のメンバーとの懇親会があって参加者募ってるんだって……ほらタカシさんも参加するってよ」  ミズエの心が跳ねた。
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