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少しの間だったがミズエはタカシの隣に座ることが出来た。話掛けようと何度も試みたが出来なかった。いざ、異性としてタカシを意識するとまるで口封じをされたように言葉が出ない。
タカシが隣にいる時間はあっけなく終わった。タカシは何事もなかったかのようにプロジェクトの仲間たちと消えていった。
「私、チャンスもらったのに……」
ミズエは呟いた。後ろで聞いていたハルナ。
「ほら、でも昨日の占いは当たったじゃない」
ハルナが声を掛ける。
「私、またあそこに行ってみる」
もちろん、ミズエが言うあそことは占いの館のことだ。
「そう、なんだかんだでやっぱり気になるんだ」
「まだ、後二回あるんだからきっといい方向に向かう気がするんだ」
「そう、そう思えてもらえるなら紹介して良かったわ」
「私、変われそうな気がする……」
ミズエはハルナと別れ明日行くことを決意する。
「ほんと恋って麻薬みたいなものね……」
ハルナは後ろ姿を見送る。
「後、二回でおさまるかしら……」
ミズエの背中を見送りながらニヤケ顔の止まらないハルナだった。
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