厄除師という存在

2/4
前へ
/26ページ
次へ
 そんな澱みから生まれたモノを鎮める為。とある男が、この地に配属された。 「いやぁ〜、すんごい澱んでいるねぇ。ぼく一人だけじゃ大掃除が難しいかもしれないねぇ。というか、無理だわ。コレ」  山のてっぺんから見下ろしながら、他人ごとのようにあっけらかんと言葉にする若き男。  ふっくらとした顔つきに、空のように澄んだ瞳の人たらしの下がり目。血色の良い見た目は人好きの印象が強い。  風が、横殴りし銀色に近い白い髪は、流れるように一つ縛りのポニーテール。この時代には場違いなスーツも風に吹かれ大きく揺れる。  空気が、コバルトブルーと漆黒が混ざり都全体が覆われている中。魑魅魍魎、小鬼、夜叉などになった〈元人間〉が好き勝手に暴れている様子を視界に入ってきた。 「……まず、コレらを浄化させないとな。そのためには……」  指に顎を乗せ、ふむ……と思案し、ピンと思いつく。 「それだったら、〈元人間〉の浄化は人間にやって貰えば良いじゃないか!今から、スカウトに行ってきますかね♪」  そう呟いた男は、足の裏に力を込めこの世界の空気を蹴る。そして、ーー飛び降りた。  滑らかな空気の層に乗って、更に蹴り上げると前に進む。  一歩、一歩、前進していく彼。そのまま、目的地である都の地へ向かった。 「あ、その前に……この時代に合わせた服装にしないといけないか。さて、どの人間の服に変えようかねぇ~~?」  ここから見込みのある人間を声かけをして、一ヶ月後。  その者たちに条件付きで雇い、結成されたグループ。それが、━━━ 【厄除師】である。    後に。スカウトした彼は皆から尊敬され、〈公主〉呼ばれることになる。そして、現在の彼は〈社長〉と呼ばれているのは別の話にて ━━━    この内容は、当主見習い中だった頃に教わった記録一部だ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加