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禁忌の出発
「あッ……、んぅ、ン、あッ、あッ、あっ……、あ…らし。ま、…ッて」
翌日許嫁と結婚式をあげる、前日の夜。ーー丑の刻のこと。
俺、神龍時 海里は自室の布団の中で何故か弟に組みひかれていた。
胸の飾りを口内に含み、しっとりとした熱い肉厚の舌で愛撫されての行為が続いている。
コイツの悪戯はいつものことだが、今回は度が越えている。
今でも、チロチロと勃起した胸の尖端を丹念に舐めたり、甘噛みを繰り返す性行為。
触れる度に、そこだけが甘い熱を帯び神経が敏感になってしまう。
普段、首の付け根辺りに一つ結びしている黒髪の長髪が解けている今。薄っすら汗ばんだ胸元と喉仏に絡みつき、気持ち悪い。
それなのに……、
「……女みたいな反応で可愛いなぁ、海里。此処、気持ち良い……？？」
と、場違いな言葉を漏らす嵐。
自分たちの父親に似た、目尻が下がっている人たらしの瞳でじっ、と見上げてくる。
左斜めに流れている黒髪で隠された隙間から見える左目と、反対側の右目とバチリと視線が絡みついてきた。
（いつ見ても……、母親に似た吊り目の俺とは対照的だな。瞳の色以外は……）
鋭い目つきで、他人から誤解される日々を送ってきた俺にとっては、目じりが下がっている嵐は羨ましい以外何もない。
そんな思考の海に彷徨っていても、ーー現実は容赦なかった。
今でも行為は続いており、ちゅ、ちゅ、と赤ん坊のように左胸を吸い付き。もう片方の胸の飾りは、指の腹でカリカリと引っ掻き始める、嵐。
「━━━━━あぁッ……っ……！」
その瞬間、びくん！と腰が浮き上がってしまった俺。熱に浮かされつつ、我慢していた甘美を軽く漏らしてしまう。
「……もう、やめ、……ろ！嵐。今なら無かったことに……、んぅ……、してッ、あっ、やるから……、もう……、やめーー」
これ以上与えられる刺激に、耐え切れないと判断し嵐に訴えた。だが……、
「━━━━ヤダッ！それよりさ、……海里の処女を俺にちょうだい。な？良いだろ？？」
ーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーーー
（……【処女】ってなんだ？俺は、男だぞ？？）
意味の分からないことを言ってきた、六つ子の三番目の弟。━━神龍時 嵐。
その言葉の後、悪戯に舐った舌が離れる。
ひんやりとした空気が、愛撫された乳首を刺激しツン、と上向きに主張する。
じんわりとした熱が消えていく中。やっと解放された悪戯に、文句を言ってやろうと相手に睨みつけるが視線が合わず。
そして、何を思ったのか下へと静かに移動し始める。数秒後にカチャカチャと金具が外れる、この寝室に場違いな音が耳に入ってきた。
ここで、頭の中で警戒音がけたゝましく鳴り響く中、生まれてくる恐怖感。
逃げ出したい気持ちの中、ソレは━━━━容赦なくきた。
「━━━━━━ッぁあアアア！！」
俺の後孔に熱いナニカをねじ込まれる感覚で、痛みで声を荒げてしまう。
次に、尖端だけでも入り口が広がっていく違和感が増し、反射的に身体の筋肉が強張らせてしまった。
共に、引き裂かれるような焼きつくす痛みが増していく中。強烈な痛覚に、「━━ヒュッ……」と俺の声が上返り、拒絶反応で全身に嫌な汗が流れ出してしまう。
嵐の体重で太ももを押さえつけられ、投げ出された下肢は空を切り。それでも身体は俺の意志とは反して、精路に繋がっている男性器は熱で膨張し、腹筋が付くくらい起立している。
擦れる度に甘く蕩ける痛快が全身に駆け走り、射精感が込み上がりつつあった。
暗闇で見えないが……その証拠に、自身の鈴口からサラサラとした先走りの液体が、びゅくびゅくと吹き出しが止まらない。
（━━いつまで続くんだ？こんな痴態を……）
腹の上で漏らしたように広がっていく、透明なカウパー腺液。しかも、今日まで性行為が未経験だったから、羞恥心で頰に熱が籠っていく。
（まったく……、どうにかなりそうだ）
頭の中が酸欠で視界がチカチカと火花が散る。それでも続く、灼けるような挿入感。
脳に貫く狂おしい痛覚が、淫壺の中を刺激し侵入者を押し出そうを必死に拒む。
そんな中、お構いなしにジュクリ、ジュクリと侵入してくる熱を帯びた硬いモノ。本来、受け入れるように作られていない境界線を壊していく。進んでくる度に、
「……海里ぃ……、んぅ…、かい、りぃ……」
喘ぎに似た艶のある声色を吐き出す、弟。
重力で下がった左斜めに垂れ下がった前髪が、振動で揺れている中。鴉色の黒髪が月の光を吸収し怪しく揺らめき、天使の輪が出来上がっていた。
そして恍惚と熱に浮かされた切ない表情。
無我夢中で広げた俺の蜜口へ挿入し続けていく〈ナニカ〉。
その度に荒くなっていく弟の呼吸に、嫌な予感がし始める。
（ちょっと、待て！今、俺の中に入っているのって ━━━━まさか……！？）
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