届けたいこの想い

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「くそー失敗した」  枕を投げ飛ばした。今日で全てを決めるつもりだったのに大誤算だ。仕方ない、プランBに変更だ。プランAは放課後の樹の下で告白だが、Bは登校前に家の近くの公園に呼び出して告白するというものだ。プランが進むにつれロマンティックな空気は消えていくが、どうしようもない。俺はスマホで百合に明日いつもの公園に来るよう連絡を入れると、バタッと倒れた。  翌日。  俺はいつもより早く起床すると馴染みの公園まで急いだ。小学生の頃はここが登校班の集合場所だったので、百合も良く知る場所だ。ここなら昔話をしながら自然に想いを伝えることが出来るかもしれない。  だが、問題が起きた。百合には弟が一人いるのだが、なんてことだ、その弟同伴で公園に来たのである。思えばここは登校班の集まるところ。小学生の弟がいるなら当然ここにも小学生の大群が集まる。俺は今更頭を抱えてしまった。  結局、その日も告白は勿論、まともに百合と会話すら出来ずに三人とその他大勢でお喋りして終わったのである。
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