届けたいこの想い

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 放課後のチャイムが鳴り響く。  今日は一つの覚悟を持ってこの日を迎えた。それは幼馴染で同級生の百合へ告白することである。俺は昔から百合の事が好きだった。いつの頃からか恋心を抱き、念願叶って同じ高校に合格した。この機会を逃す手はない。もうじき夏休みになるので区切りとしては丁度いいだろう。  だが、俺には少し悩みというか、欠点がある。それは何か物事を進める時に、自分の流儀に固執してしまうことだった。電話やメール、ライン等の機械を通しての告白など告白ではない。自分の口で直接相手に思いを伝えるのが王道であると、そう考えていたのである。  決行は本日の放課後。やはり王道たる告白には王道の放課後が一番いい。俺は百合へ事前に話があると伝えておいた。もうじきその時間だ。
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