遭遇

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遭遇

私は、中西さんの旦那さんに伝えてあげないと…という気持ちと、中西さんは毎回誰か違う男と?という疑問が生まれた。誰か特定の不倫相手がいるなら、珈琲大陸に行く必要はないよね。 でもすぐに、連絡先とか浮気の証拠が残るのは困るからイベントで男を選ぶのか…と気づく。 とにかく…旦那さんに伝えてあげるにしても、ちゃんとホテルへ入るような証拠がいるわよね… そう考えた私は、もう一度珈琲大陸のイベントに参加した。余裕のなかった前回と違って、今回は中西さんを見つけよう…そう思って一人で席につくと 「いいですか?俺…この前、会ったの覚えてますか?」 と私に声が掛かり 「あ…はい…こんにちは。どうぞ…」 それは、ショップカードを持って出た日にぶつかったイケメンさんだった。 「コウです。よろしく」 「風子です」 「また会えた」 「はい…」 「フウコさんはこのあとが仕事の方ですか?」 「いえ…仕事はしてないんで」 「そう。旦那の家にいてくれ願望?自身の専業主婦希望?専業主婦も手が抜けなくてしんどいイメージだな」 「私にいてくれというよりは…どちらの実家も近所ではないから、子どもが小学校卒業まで私は家にいると、相談して決めたので」 「なるほど、子どもの安心になるってことか」 「そんな感じです。コウさんは…スーツでお仕事中?」 「ははっ…さすがに“(ちゅう)”ではないです。このあとなので、最後まではいられないけど、美味しい珈琲飲む目的で、たまに覗いてる。こうして美人に出会えることは稀だけど。フウコさんは声が可憐というか…素敵ですね。俺の好きな声」 もうこの時にはすっかり中西さんのことは忘れていた。スーツの似合うイケメンに口説かれている気になってドキッとしては、こういうイベントよっ、と頭で唱える。
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