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客待ちの女だと軽蔑された?その上で…この肌の透けた私に何も感じず、子どもにお風呂を促すような態度…
こういうホテルに一人で入れるの?と思いつつ、もうスギさんに聞くことも嫌だったし、エアコンの効く場所で一気に体が冷えて来たのを感じて、適当に部屋を選んで入室すると、ガラス張りの浴室に直行する。
その手前にある、大き過ぎる鏡の中の私は…髪とブラウスがびっしょりと濡れた、何の取り柄もない女…これまで平凡だと思っていた生活だったのに、急に満たされ無さに気づき始めた主婦。そして…思った通りに物事が進まない、ついてなさが表情に滲み出たアラフォー…
浮気をしたわけではないけれど、こういうホテルへ足を踏み入れた今日、夫が出張に出た日で良かったと思いながらシャワーをする。こんな日じゃないはずだったのにな…
ブラウスと下着を乾かす間、どんどん気分が下がって行く。そしておどおどしながらホテルを出た時には
「やだ…」
日焼け止めを塗らない肌にしっかりと紫外線が突き刺さった。
中西さんのせいよ…
何もかもが彼女のせいに思えた私は、意地になって木曜日にも彼女を撮ろうと出掛けた。
サングラスと日傘で日差しから身を守りながら、駅からホテルの方へ向かう。スギさんがいたって、もう声を掛けては来ないだろう…そう思えたから、また同じ場所に向かったのだけど
「フウコさん…?だよね?」
反対側から歩いて来たスーツ姿じゃないコウさんと、ばったりと出会った。
「…ここで…立ちんぼしてるの?」
「まっ、まっさかっ…違う…っ…」
「本当に?一昨日、このホテルに男と相合傘で入って行ったの…フウコさんだったと思ったんだけど…」
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