狼狽

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「「ただいま〜」」 声を揃えて帰って来た二人を出迎えようと 「おかえり」 とキッチンから玄関に向かう。 「今から出張のお土産持って」 「おばあちゃんちに行ってくる」 夫と千愛が続けて言うので驚いた… 「……今から?明日の土曜じゃないの?」 「今から行って来る。俺は帰って来るけど、夕食はいらない」 「私はおばあちゃんちにお泊り。今、電話したらあっちゃんも泊まるって〜」 あっちゃんは夫の妹の子で、千愛と同い年のいとこだ。 「パパ、このまま宿題は持っていくよ」 「ランドセルがあったら出来るのか?」 「うん」 「じゃあ、このまま車に積む。千愛は2泊分の着替えを自分で用意して。急がなくていいよ」 「はぁ~い」 「ママは荷造りを手伝わなくて大丈夫。足りないものがあってもいいから、千愛に任せよう」 「ぁ…うん…」 ご機嫌な二人の勢いに狼狽えながら廊下に立っている私の前を 「中西さんにもお土産を持って行くよ。昨日のお礼に」 と紙袋を持った夫が通り過ぎる。 「じゃあ…私も一緒に」
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