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「その上で…今夜聞いた話…それで確信した。このまま真実を知らない方が楽だとは思うけど、千愛が傷ついてる…“ママが嘘ついた”ってね…だから、俺が楽したり素通りすることは出来ない。千愛と向き合って…どんなに時間がかかっても癒してやらないと…でも今、千愛と向き合うのはママじゃない、俺だから」
「……どういうこと…?」
「嘘しか言えない母親に子どもは癒せない。余計に傷つけるだけだ」
ここで言葉を区切った夫は水を飲むと
「ママも…今は嘘しか言えないみたいだからもういい。ひとつずつ何とか確かめるから…直美さん」
と斜め前を見た。
「…はぃ…」
「その喫茶店に本当に一度だけかどうかって、確かめる方法はあると思う?あったら教えて欲しい」
「え…どうだろ…確かめる方法…」
「直美が風子さんの写真をとっちゃんに見せたらええんちゃう?」
「そんなんとっちゃんの記憶違いやったら責任取れへんようなウソ証言になるやんか…」
「そうやな…あかんな…」
「あっ…あのイベントは万が一、のちのちトラブルってなったら困るからと、途中で出る人がいるから、カード支払いのみらしいんですよ…本人確認を兼ねてるっていうか…」
「オッケー、ありがとう。請求書の明細で確認出来るね」
すーっと自分の血の気が引いていくのが分かる。カード支払い…三度行って、二度参加している…
「ぁ…」
思わず掠れた声が出た…火曜日…ホテルでカード支払いした…
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