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玄関を出てわざわざ見張っている訳ではない…と心の中で言い訳しつつ、窓を開けて掃除する2階の部屋から中西さんの朝を確かめた。
名前を呼び合う夫婦生活、かわいい子の送迎を欠かさない日常…そして彼女は火、木、金と同じ時間に家を出る。亜優ちゃんの3時のお迎えまでには帰っているということだろうけど…やっぱり着替えて、というのが気になった。
何処へ行くのかと中西さんの後ろを、距離を取って歩き始めて行き先が“駅”だとすぐに気づく。
歩きながら交通系ICカードがあったよね…と財布を確かめると、それを手に握りしめ、彼女が改札機を通ったあと左右どちらへ行くかを見てから私も改札機を通り抜けた。
ホームでばったり…って…どうしよう…
そうドキドキしつつゆっくりとホームへ向かう。そして9時台でも結構な人がいることに安心して、スマホを操作する彼女の隣のドアのラインに並んだ。
私もスマホ…彼女ばかり見ているのもおかしいものね…と何の通知もないスマホを見てから、到着した電車に乗る。
電車に乗るとスマホをバッグに入れた中西さんは…え…次の駅で降りた…待って…あ……失敗……降りられなかった…
初回はただ電車に乗って帰ったけれど、二度目は彼女を確認しつつ隣の駅で降りる。
そして改札を出た彼女は駅前の道をスイスイと奥へ入り、2分ほどだろうか…喫茶店に入って行った。
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