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隣人
ピンポーン……
ある土曜日の15時、我が家のインターホンを押した主は想像が出来た。
「パパ、お隣さんよ…きっと…」
私、秋山風子は、ソファーに寝転んでスマホを操作する夫、宗人に声を掛けながらモニターに応答する。
「はい」
“朝から騒がしくてすみませんでした。隣へ越してきた中西と申します”
画面で確認出来るのは関西なまりのイケメンさんで、画面から切れているけれど女性と子どももいるようだった。
「お待ち下さい」
モニターをオフにして
「パパ、やっぱりお隣さんよ。出て」
ともう一度夫に声を掛ける。
「うん、千愛もおいで。隣に来た人に挨拶だ」
「隣、パパの友達?」
「じゃないな。パパもママも初めて挨拶する人」
録画のアニメを見ていた7歳の娘、千愛と手を繋いで玄関に向かう夫のすぐ後ろを歩きながら、私は手ぐしで短い髪を整えた。
「お待たせしてすみません、こんにちは」
上下スウェットとは思えない爽やかさと滑舌の良さで、新しい隣人に声を掛けた夫につられて千愛も
「こんにちは〜」
と元気にドアの外に出る。
あら…へぇ~なかなかの美男美女夫婦と可愛らしい女の子だわ。ずいぶん若いのかしら?
39歳の夫と38歳の私よりも5歳は若く見える夫婦と、手を繋がれて間に立つ女の子…意味もなく片足で立ってグラグラと両親を揺らす女の子がにこやかに私達を見た。
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