日常

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日常

「あっつ…自転車しか無理やな…わっ、亜優、もう靴履けたん?はっや…すごいやん」 「すごいやろ~」 あと数日で夏休みが始まる。娘、亜優の幼稚園はもう午前保育のみになった。プールをして帰って来るだけだ。 だから珈琲大陸でのアルバイトも長期休暇入りだ。 「あ、おはようございます、秋山さん」 「おはようございます。朝から暑いわねぇ…亜優ちゃんはプールバッグ持って行くのね」 「ぷーるする」 「いいわねぇ、いってらっしゃい」 「秋山さんはお買い物ですか?」 あのあと…まだ離婚はしていないらしいけれど、風子さんはこの家を出た。千愛ちゃんが風子さんのいるここを拒絶したようだ。秋山さんも風子さんも離婚の意向だそうで、詳細が決まれば離婚成立となる。 そして、秋山さんのお母さん、千愛ちゃんのおばあちゃんが、風子さんの出た直後にここへ来た。おじいちゃんとの自宅もあるから、簡単に同居とはいかないけれど、おじいちゃんには自立してもらって千愛ちゃん最優先とご家族で話し合ったという。 とりあえずの移住というか、引っ越して来られたおばあちゃんが慣れない家で奮闘されて2ヶ月近くになる。 「そうなの。スーパーの開店を待つくらいで行って来るわ…暑いから」 「それがいいですね」 「千愛もお昼までで帰って来るから」 「そうですよね。気をつけて」 「ありがとう。亜優ちゃん、いってらっしゃい」 「いってきま~すっ。ばいばーい」 千愛ちゃんは、私から見た感じでは何も変わりない。けれど、ママへの想いは千愛ちゃんにしか分からないものがあるだろうと思う。 嘘をついたママ。違う匂いのママ。拒絶した自分。ママがいない現実…
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